飯田古墳群馬匹関連遺物
いいだこふんぐんばひつかんれんいぶつ
作品概要
1)新井原・高岡古墳群 4号土坑出土遺物
新井原・高岡古墳群4号土坑は、全長35mを測る新井原12号古墳(帆立貝形古墳)の北側で検出された。土坑内には鉄地金銅張轡や杏葉が装着された馬1頭が埋葬されていた。出土遺物のうち、f字形鏡板付轡は引手の先端に直接別作りの瓢形引手壷を付けるもので、辻金具は馬頭部周辺から出土しており、面繋の金具と考えられる。f字形鏡板付轡・剣菱形杏葉・辻金具は鉄地金銅張であり、年代は5世紀後半に位置づく。
2)物見塚古墳出土遺物
物見塚古墳は直径30mを測る円墳で、埋葬施設は粘土槨内に割竹形木棺を納めたものである。棺内からは剣・短剣・漆塗り製品・竪櫛が出土した。馬歯と鑣轡は周溝内からの出土で、鑣轡は馬に装着されていた可能性がある。鑣轡は二条線引手が遊環を介さず銜と結合するもので、鑣を固定する金具が残存している。銜の部分に捩りがある。5世紀中頃に位置づく。
3)茶柄山古墳群 土坑10出土遺物
茶柄山古墳群土坑10は、茶柄山3号古墳(前方後円墳)の北側、茶柄山2号古墳(円墳)の西側で検出された。出土遺物は馬歯と青銅製の三環鈴で、出土状況から馬具として装着されていたと考えられる。中央の円環に対して鈴が不均等に配置され、円環の直径よりも鈴の直径が小さくなることから、三環鈴としては古い形式で、5世紀後半に位置づく。
4)高岡4号古墳出土遺物
高岡4号古墳は直径26.5mを測る円墳で、円筒埴輪、朝顔形埴輪が出土した。馬歯と鑣轡は周溝内から出土しているが、両者は共伴しない。鑣轡は一条線引手が遊環を介さずに銜と結合するもので、鑣を固定する金具が残存している…