元暦校本万葉集 巻十(古河本)
げんりゃくこうほんまんようしゅう まきじゅう ふるかわほん
概要
『万葉集』とは古代の和歌をあつめた日本最古の歌集であり、8世紀の後半頃にまとめられました。現在のこされている『万葉集』はいずれも平安時代以降に書き写されたもので、この元暦校本万葉集は元暦元年(1184)に校正作業が行われた写本です。
この写本は平安時代に写された『万葉集』のなかで最も歌の収録数が多く、記された文字も平安時代を代表する名筆であることから、特に重要視されてきました。
また紙自体も美しいもので、飛雲という紫と藍で染めた紙の繊維をすき込んだ鳥の子紙を用いています。
次にその本文ですが、歌は日本語を漢字の音であらわした「万葉仮名」とならんで仮名で記されています。『万葉集』はもともと万葉仮名で記されていたため、その原文につづき読み方を記しているのです。
その書風は中国の影響から離れ、穏やかで伸びやかな和風の美しさをみせており、特に仮名にはここちよいリズムが感じられます。歌・紙・文字がそれぞれ響きあい、かたち作られた平安の美の世界をご堪能ください。