結綿紋蒔絵櫛(「路考櫛」)
ゆいわたもんまきえくし(「ろこうぐし」)
概要
木製、本角形の大ぶりな挿櫛で、赤口の朱漆塗地に平蒔絵で「丸に結綿紋」を蒔絵している。本角形の形状は宝暦9年(1759)『圖式雛形/蒔繪大全』にもみえる。「丸に七五三の結綿紋」は、江戸で大人気の歌舞伎役者・二代目 瀬川菊之丞(1741~1773)の家紋であり、当時「路考櫛」として人気を博した。平成15年(2003)に花柳章太郎(1894~1965)の遺族・青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。特に本作は花柳章太郎「きもの簪」(和敬書店、1949年)に 関根黙庵(1863~1923)から水谷幻花(1865~1943)、花柳章太郎へと伝わった由緒が詳述されている。