皿
さら
概要
イタリアのベネチアの風景を描いたと思しき皿。イタリアではベネチア、ミラノ、フィレンツェを訪れた。章太郎はかねてイタリア訪問を熱望していたが、観光シーズンを過ぎた冬のベネチアではゴンドラも運行しておらず、寒々とした景色に落胆してしまう。しかし、1泊2日という短い滞在だったこともあり、夜の7時過ぎまで橋の一つ一つを夢中でノートにスケッチしたという。この大皿には夕暮の暗い水面に浮かぶ橋が描かれており、冬のベネチア の寂し気な街並みのなか、鮮やかな緑の服の人物が対比的に描かれる。
花柳章太郎(1894~1965)の旧蔵品で平成10年(1998)に遺族の青山久仁子氏より国立劇場へ寄贈された。