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北海道・礼文郡礼文町
国指定文化財(史跡名勝天然記念物)礼文島桃岩一帯の高山植物群落北海道礼文郡礼文町
礼文島の西海岸域は急峻(きゅうしゅん)な海食(かいしょく)崖(がい)が連なる風衝地(ふうしょうち)であり、海岸沿いの低標高地に高山植物群落が発達する。礼文島には気温条件上では高山帯に該当する地域は存在しないものの、西海岸域の高山植物群落は、冬季の風衝や凍結(とうけつ)破砕(はさい)作用(さよう)による物理的に不安定な表土といった特殊な立地によって成立している。礼文島の高山植物群落は、北海道の主要な山岳が周(しゅう)北極(ほっきょく)要素(ようそ)や東北アジア要素などの北方系の分布型を示す高山植物種を主体とすることに対して、本州の高山植物群落と同様に南方系の東アジア要素群が多い特徴がある。また、狭小な特殊立地にもかかわらず高山植物の種(しゅ)多様性(たようせい)が高く、隔離(かくり)分布(ぶんぷ)種(しゅ)が豊富であり、固有(こゆう)種(しゅ)や固有(こゆう)変種(へんしゅ)が多い特徴がある。これらは、地史的背景のもと風衝や物理的不安定性が高い表土といった特殊な立地において最終(さいしゅう)氷期(ひょうき)以前の古い時期に渡来した植物群が遺存(いぞん)しているものと考えられており、第四紀の気候変動に伴う高山植物の移動と現在の分布を理解する上で植物地(しょくぶつち)理学的(りがくてき)に貴重である。このことから、天然記念物に指定し、保護を図るものである。
国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))北海道船泊遺跡出土品北海道礼文郡礼文町大字香深村字ワウシ958-4
本件は、日本列島最北端の離島である礼文島(れぶんとう)に所在する船泊(ふなどまり)遺跡から出土した、縄文時代後期前葉から中葉の出土品一括である。
船泊遺跡は、礼文島北部に位置する船泊湾と久種湖(くしゆこ)との間に形成された、標高十メートル前後の砂丘列の西端に位置し、平成十年(一九九八年)の発掘で、竪穴住居跡八軒、貝平玉製作を行った作業場跡六か所、墓坑二十四基と、同時期の遺物包含層が調査された。
本件は、この調査で出土した骨角牙貝製品千百五十一点、土器四十二点、石器・石製品四百二十三点から構成される総数千六百十六点の遺物である。
特に墓坑から出土した遺物は、多量の貝平玉、硬玉大珠、貝装身具など、その内容は非常に多彩であり、遺体に装着ないしは副葬された状態で出土した資料も多い。また、貝装身具の中には、本州南半以遠の地域に棲息するイモガイ・タカラガイ・マクラガイなどを素材にしたものがあり、糸魚川(いといがわ)産の硬玉、骨角器に付着したアスファルトなどは、日本海をめぐる遠方との交易を物語る。また作業場跡からは、石錐・敲石・短冊形石器・砥石など、平玉製作のための工具と考えられるものも出土した。
日本列島の最北端に所在する大規模な縄文時代遺跡からの出土品であり、当時の埋葬儀礼のあり方や、貝平玉製作や生業に関わる道具の組み合わせなどを復元するために欠かせない内容を持っており、その学術的価値は高い。