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埼玉県・さいたま市北区

国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))鉄道古文書鉄道博物館 埼玉県さいたま市大宮区大成町3-4-17

鉄道古文書

明治三年(一八七〇)、民部【みんぶ】大蔵省に鉄道掛が設置されて以降、数次の組織改編を経て明治二十六年に鉄道庁が廃止されるまでの鉄道行政の根幹に係る公文書である。監督官庁の変遷に従って以下の四つに大別される。
 (一)鉄道寮事務簿は、鉄道掛の設置から明治十年の鉄道局設置までの期間、鉄道掛・鉄道寮の取り扱った文書の総称である(明治四年、鉄道掛は鉄道寮と改称)。創業期の鉄道全般にわたる文書が収録されており、第一三巻が関東大震災で焼失したほか三四冊が現存する。新橋―横浜間および大阪―神戸間の開業に関する測量や用地買収、線路・駅舎等の建設関係、「鉄道寮汽車運輸規程」といった規則の制定、初期鉄道職員の制服図案や時刻・賃金の設定、さらには英国からの機械・機具類、建設資材の購入品目一覧等を主な内容とする。
 (二)工部省記録(鉄道之部)は、明治十八年の内閣制度成立まで鉄道事業を管轄した工部省が太政官に宛てた上申書や太政官からの通達等のうち、明治四年以降の鉄道関係記録を収録したものである。第一六巻が震災で焼失したほか三九冊が現存する。中には華族の鉄道敷設運動として著名な「東京鉄道組合」「東山社【とうざんしゃ】」に関わる資料や、日本で最初の、そして国有化されるまでの最大の私設鉄道会社であった「日本鉄道会社」関係資料が含まれる。また第八巻は一号御料車が登場した京阪神間開業一件、第二〇巻は都電の前身にあたる東京馬車鉄道会社一件、第三四巻は現在の私鉄では最古の歴史をもつ南海電気鉄道の前身にあたる阪堺鉄道会社一件と、創業期から次第に路線を拡大しつつある日本鉄道業の実態がうかがえるものである。
 (三)鉄道局事務書類は、工部省の廃止により鉄道事業が内閣直属の鉄道局所管となった明治十八年から二十三年までに、同局が取り扱った文書を収録する。引き続き延伸する各路線に関する建設関係が主な内容であり、既設路線・駅舎等の改修・増築も多数見られる。第七巻は明治十九年から二十一年までの鉄道敷設に係る各府県の用地関係の一件書類である。
 (四)鉄道庁事務書類は、鉄道局が明治二十三年内務省所管の鉄道庁となってから、二十六年逓信省【ていしんしょう】所管の鉄道局と改称されるまでの時期に扱われた書類を収録したものである。第一・二巻は震災で焼失したものの一一冊が現存する。この時期になると路面電車の建設が計画され、第一三巻は東京市街鉄道、東京電気鉄道、東京電車鉄道等の関係書類である。
 戦前より最重要の史料群として認識されていた鉄道古文書は、度重なる組織の改編による移転に際しても散逸せず、関東大震災時にも懸命の搬出により一部被災にとどまった。また第二次大戦下でも大月保線区に疎開・保管されていた。鉄道古文書は、このように散逸・焼失の危機を乗り越え、鉄道開業から基幹路線の整備に係る予算・建設・組織等、日本の鉄道創業期の基本政策を今日に伝える根本史料として貴重である。

国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))一号御料車鉄道博物館 埼玉県さいたま市大宮区大成町3-4-17

一号御料車

詳細解説参照

国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))一号機関車〈/一八七一年、英国製〉鉄道博物館 埼玉県さいたま市大宮区大成町3-4-17

一号機関車〈/一八七一年、英国製〉

明治5年(1872)の鉄道開業に際して、英国から輸入された蒸気機関車10両のうちの1両で、付番から「一号機関車」の呼称で知られている 本車両は、新橋・横浜間開業後、日本国内で初めて運行した蒸気機関車のうちの1両として、我が国近代交通史の黎明を告げるものである。