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神奈川県・横浜市中区

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))中嶋家住宅(旧ピゴット邸)主屋神奈川県横浜市中区山手町69-7

中嶋家住宅(旧ピゴット邸)主屋

旧山手居留地に建つ大きな切妻屋根と太い円柱の玄関ポーチが特徴の洋館。内部はベイウィンドウ付食堂を中心に諸室を配置、応接間と食堂、居間に暖炉を置く。二階は屋根裏部屋の個室を設け、元は南面をサンルームとした。震災後の外国人住宅として貴重。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))河合家住宅(旧横浜市営外国人住宅)主屋神奈川県横浜市中区山手町124

河合家住宅(旧横浜市営外国人住宅)主屋

旧山手居留地の南部丘陵に所在する洋風住宅で、関東大震災後に横浜市が建築した外国人住宅。切妻造平屋建、角屋部分半切妻造。柱頭飾り付円柱の玄関ポーチが特徴的。内部は居間中心の平面で、居間と食堂に暖炉を備える。震災復興の公営外国人住宅として貴重。

国指定文化財(重要文化財)神奈川県庁舎神奈川県横浜市中区日本大通一

神奈川県庁舎

神奈川県庁舎は,横浜港の近く,日本大通りに面して建つ。設計競技の一等となった小尾嘉郎案をもとに,県庁舎建築事務所が実施設計を行い,昭和3年に竣工した。先代の庁舎が関東大震災で大被害を受けたため,鉄骨鉄筋コンクリート構造を採用した。「横浜三塔」のうち,キングの塔として知られ,相輪や宝形屋根を模すなど,象徴的な塔をもつ庁舎建築の先駆である。内装には,宝相華紋など,和風を基調とした優れた意匠を見せる。
また,戦前の公募型の設計競技としては多数の応募があり,一等案を踏襲した実施設計図面や模型など,設計競技から竣工に至る一連の資料が保存されていることも価値が高い。地方官公庁舎建築の発展において構造と意匠の画期を示す建物として重要である。

国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))氷川丸神奈川県横浜市中区山下町山下公園地先
附 東京都文京区湯島4-10-14

氷川丸

氷川丸は、昭和5年(1930)に横浜船渠株式会社にて竣工した貨客船で、主として戦前、戦後期はシアトル定期航路に就航し、戦中期は海軍特設病院船、終戦直後は復員船、引揚船等として使用された。昭和35年、現役を引退し、宿泊・観光に供するための改装工事が施され、保存船として今日に至る。
 氷川丸は、デッキを9層積み上げた構造をもつ外洋航路用の貨客船である。激しい風浪に対する耐久性を得るために次のような安全性の高い設計がなされた。鋼板の建造はリベット工法で、外板には18・3ミリメートル以上と通常より厚い鉄鋼板が用いられる。船底は二重、A、B、Cデッキの三層は全面鋼板にて床が形成される。船首部にはパンチングストリンガーと呼ばれる水平補強材が我が国で初めて採用された。万一の浸水に備えてスライド式水密扉を設置するなどして平面上で10の水密区画を形成し、SOLAS(The International Convention for the Safety of Life at Sea)を批准した船舶安全法(昭和8年施行)を先取りした安全対策を講じる。防火設備では、先進的な煙管式火災探知装置および同管を利用した二酸化炭素消火設備が設置された。
 建造当初の客室定員は、1等35室75名、2等23室69名、3等25室138名の合計282名であった。貨物搭載量は10,274トンを確保し、船倉への貨物搬入のためにハッチを6か所設置する。特に重要輸出品であった絹製品を安全に輸送するために、C、D デッキの三か所に防水区画を形成し内装に木板を貼ったシルクルーム(専用倉庫)を設置した。また、船体中央部に32.69メートル高の機関室を設置し、大型、高出力のデンマークの「B&W(バーマイスター&ウェイン)」社製複動型4サイクル8気筒ディーゼルエンジン2機2軸を配置する。
 船室の内装は、1等社交室、同食堂、同食堂前主階段、同喫煙室、子供室及び読書室が当時のフランスを代表する船内内装設計者であるマルク・シモン社の設計になる。これらの部屋は、一部に改変のあとがあるものの総じて当初の内装をとどめる。アールデコ様式が我が国に直輸入された最初の建築意匠といえ、客船の内装史上では、クラシックやアールヌーヴォーからアールデコに推移する最初期に位置するもので、建築史上、工芸技術史上に貴重である。
 なお、航海日誌や修繕及び模様替えの記録等を収載する甲板部記録、機械設備類の青図等図面類が伝存し、附として保存を図る。
 本船は当時における先進の造船技術を導入して国内にて建造された貨客船であり、海外との輸送手段を貨客船が担っていた時代、及び戦中戦後の激動の時代において、社会・経済史上に大きな役割を果たした。戦前期に多数建造された外洋航路船の現存唯一の遺存例として、近代交通史上、造船技術史上などに貴重である。