敷地の東面、南北二箇所を出入口として開けた総延長一〇四メートルに渡る石垣と、敷地内の築山際に築かれた石垣からなる。東面の石垣は自然石を亀甲形に整形して六段に積み、上部に葛石を載せる。広大な工場の敷地を区切り、前面道路からの景観を形成する。

敷地の南西隅に独立して建つ。東西棟で二階建切妻造の鉄板葺置屋根を前室まで葺き降ろす。腰を鉄板で養生し上部は漆喰塗。北を戸口とし内部も鉄板で覆う。当蔵で花火を製造したとの伝聞があり、湿気対策とも思われるが当時の用途は不詳。敷地の一角を構成。

敷地の北方に独立して建つ。平屋建切妻造桟瓦葺で東西棟とし南に下屋を張出し戸口をつくる。下屋上部を二階窓高さで海鼠壁とし化粧とするほか東妻に漆喰で吉の字を飾る。。内部は一室で土間床とし、キングポストトラスの小屋組を現す。敷地北端の景観を形成。

敷地の北寄りに独立して建つ。二階建切妻造桟瓦葺で東西棟とし西に下屋を差掛け戸口とする。漆喰仕上で腰を鉄板で養生し東妻には吉の字をかたどる。一、二階とも一室で、小屋は桁行中央間に梁を渡す。当地で醸造を開始して以来の遺構で、北辺の景観を構成。