カテゴリで見る
山梨県・南巨摩早川町
国指定文化財(登録有形文化財(建造物))早川町郷土資料館(旧三里村役場)山梨県南巨摩郡早川町大原野146
木造二階建の切妻造鉄板葺で、外壁は下見板張とし、軒下を漆喰塗とする。わずかに張出した正面玄関部はモルタル塗として、切妻破風を見せ、洋瓦葺の玄関ポーチが付く。玄関部二階の六角窓や妻壁上部の縦棒飾りをアクセントとする、軽快な意匠の庁舎建築。
国指定文化財(登録有形文化財(建造物))栃原堰堤山梨県南巨摩郡早川町大字高住字栃原山
富士川水系春木川中流の、岩盤の露出する地点に建設。堤長60m、堤高10m、表面石積の重力式コンクリート造堰堤で、下流には副堰堤を設け、わが国有数の崩壊地として知られる七面山からの土石流を受ける。農山村振興工事の一環として建設。
国指定文化財(史跡名勝天然記念物)新倉の糸魚川―静岡構造線南巨摩郡早川町
糸魚川―静岡構造線は,ほぼ南北の延びを示し,新潟県糸魚川市から長野県大町市,松本市,諏訪市,富士見町,山梨県白州町,早川町を経て静岡市に達する。日本列島中央部を横断し,東北日本と西南日本を分ける延長250kmにも及ぶ大断層である。近年では,北アメリカプレートとユーラシアプレートを画するプレート境界であるとする学説もあり,極めて重要な断層である。糸魚川―静岡構造線の西側が比較的古い時代の地質を主体とするのに比べ東側の地域は,新第三紀(2,400万年前以降)や第四紀(200万年前以降)の若い時代の地質を主体とする。この東側の地域が,ナウマン(H.E.Naumann:1854-1927)によりフォッサマグナ(FossaMagna=大きな溝)と呼ばれた地域である。フォッサマグナは,およそ1,500万年前日本海の拡大に伴って形成された凹地で,フォッサマグナの西側の境界が糸魚川―静岡構造線である。
糸魚川―静岡構造線は,全ての区間で活断層というわけではない。活断層の部分は,北は長野県白馬村から南は山梨県櫛形町の間である。糸魚川―白馬村間と山梨県櫛形町―静岡市の間は,活断層の痕跡を示す地形が認められていない。糸魚川―静岡構造線の活断層の部分を,特に「糸魚川―静岡構造線活断層系」と呼ぶことがある。活動度は,主に長野県内の部分で高く,松本市付近で1,000年あたり8.6mという高い活動度を示している。糸魚川―静岡構造線活断層系は,「北部」,「中部」,「南部」と大きく3つの部分から成り立っている。北部の活断層は,東側の地盤が西へつきあげる逆断層,中部は,左横ずれ断層,南部は,西側の地盤が東へつきあげる逆断層,となっている。特に,中部の横ずれ断層の部分は,諏訪湖付近で中央構造線を12kmほど左にずらせている。
山梨県早川町新倉の内河内川左岸には,糸魚川―静岡構造線の逆断層が見事に露出している。断層の西側は,先新第三系瀬戸川層群の黒色粘板岩,東側は,新第三系中新統の凝灰岩類からなる。断層面の走向は北25°西,傾斜は45°西で,西側の古い地層が東側の新しい地層の上にのし上がっているのがわかる。
「新倉の糸魚川―静岡構造線」は,活断層ではないものの,断層の形態が明瞭にわかる。東日本と西日本を画する,わが国でも第一級の断層である糸魚川―静岡構造線が典型的に見られる場所として貴重である。よって天然記念物に指定し,保護を図ろうとするものである。
国指定文化財(重要有形民俗文化財)甲州西山の焼畑農耕用具南巨摩郡早川町奈良田486
山梨県の早川町西山地区は、早川(富士川の支流)の最上流域を占め、険阻な山峡に抱かれた南アルプス(赤石山脈)東麓の典型的な山村である。
この地域では、古くから集落背後の山腹斜面に耕作適地を見い出し、焼畑農耕をして主食糧を自給してきた。この地域の焼畑には、粟・小豆などを栽培するハルヤキ(春焼き)と蕎麦・粟などを栽培するナツヤキ(夏焼き)とに大別される。いずれも雑木林を一定期間(約15年間)をおいて伐り拓き、決まりの作物を輪作した。
この資料は、使い捨てられやすい難点を克服し、奈良田を中心に、上湯島・下湯島などの地区から体系的に収集したもので、早川最上流域で営まれてきた焼畑農耕の過程や実態をよく知ることができるものである。また、全国的にみて類例の少ないものも含まれており、南アルプス東麓の地域的特色も顕著にみられる。