桁行五間梁間二間の背面に突出を設けて凸字形平面とし、切妻造檜皮葺屋根に千鳥破風を飾る。軸部から軒に至るまで丸太を使い、垂木は詰打とする。床は平石敷の立礼式とし、突出部は一段高く張る。簡明で木太い軸部構成による、重厚な土間床の拝殿。

総門内側の参道に西面して建つ。木造平屋建、入母屋造桟瓦葺で正面に下屋を設ける。素木造の簡素な外観で、入口回りの土間を吹放し、内部は二列に並べた和室を基本とする。往時には広大な境内入口で参詣者を接待した施設で、日蓮宗寺院の茶所としても希少。

総門内側で参道に直交する石段上に建つ。入母屋造妻入、向拝付の主体部の前面左右に張出しを設ける。内部は畳敷の内外陣と、左右の脇間からなる。内陣鏡天井に飛天を描き、外陣格天井の格間に龍を陽刻する等豊かな装飾をもつ。山中境内入口に建つ堂。

身延山頂に所在する思親閣の鐘堂で、方一間、入母屋造瓦棒銅板葺。内転びの四本丸柱を虹梁形内法貫と頭貫で固め、各面の虹梁形内法貫上に大瓶束を立てる。組物は出組詰組で、内部は出三斗で鏡天井を受ける。軸部堅牢で軒の出も深く、安定感ある姿形の鐘撞堂。