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青森県・下北郡東通村

国指定文化財(重要文化財)尻屋埼灯台青森県下北郡東通村大字尻屋字尻屋崎1番1

尻屋埼灯台

青森県の下北半島の北東端、尻屋崎に位置する。北は津軽海峡、東は太平洋を望む絶景の地に建つ洋式灯台。太平洋側に建設された初期の煉瓦造灯台の一つで、東北地方初の洋式灯台である。明治9年の建設で、設計指導は、我が国の数多くの洋式灯台を設計した英国人技師、リチャード・ヘンリー・ブラントンである。ブラントンが日本で最後に手がけた灯台の一つで、同人による灯台の集大成ということができる。壁を内外で二重にした二重円筒形式で、高さ32.8mと現役の煉瓦造の灯台では日本一の高さを誇る。また、霧信号が設置された最初の灯台であることも希少である。

国指定文化財(史跡名勝天然記念物)浜尻屋貝塚下北郡東通村

浜尻屋貝塚

本州最北端、下北半島東北端部に立地するアワビを主体とする中世の貝塚。14世紀前半から15世紀末まで存続。14ヶ所の地点貝塚があり、殻長6cm前後の大きさの揃った大量のアワビ貝殻などが出土した。貝塚後背部の平坦な盛土整地層では、多数の掘立柱建物や井戸、カマド状遺構等を検出し、これらの建物は漁獲物の加工施設であるとすることができる。また、出土遺物からは活発な交易活動が窺われる。
 浜尻屋貝塚は大量のアワビ貝殻と加工施設の存在から干アワビを生産していたものと考えられる。干アワビは古代では地方からの貢納品であり、近世では「長崎俵物」として中国に輸出されていたように、珍重された保存食材として広く交易されていたと考えられる。中世における実態は不明な点が多いものの、既に交易品としての干アワビを生産していたことは注目すべきことである。
 この様に、浜尻屋貝塚は中世における海産物加工品生産の実態を良く示すとともに、当時の交易の様相を知ることができる上でも貴重である。