三重塔は正慶二年の建立で純和様の手法になり、美しい水煙を乗せ安定した容姿をしている。内部の極彩色は、剥落がひどく惜しいが中央の佛壇は唐様を混用し美しい格狹間や特色のめる擬宝珠を用いている。俗に見返りの塔と呼ばれ、東日本に於ける現存塔婆中屈指のものである。

通りを隔てて東館南方に建つ。桁行４間半，梁間３間，土蔵造，２階建，切妻造，桟瓦葺で，戸口を開く西面に下屋を付す。本屋，下屋とも軒を漆喰で塗り込め，腰廻りを海鼠壁風とした重厚な外観をもち，東館，土蔵と共に温泉場目抜き通りの歴史的景観を整える。

本館玄関南に接続する。桁行４間半，梁間３間，土蔵造，２階建，桟瓦葺の置き屋根で，西面戸口に下屋を付す。高く築いた切石積基礎上に建ち，細かな細工の鉢巻を廻し表通りに面して開く窓廻りを黒漆喰塗で飾るなど，老舗旅館の風格ある構えに欠かせない建物。