海岸沿いの旧道に東面する二階建の町家。一階前面を下屋とし、北寄りに出入口を設け、他は格子とする。相模灘を望む二階はほぼ全面をガラス窓として庇と高欄を付す。上下階とも欄間や下地窓などに瀟洒な意匠を施す。宇佐美地区で希少な戦前の和風住宅。

かつて海を望んだ敷地に東郷平八郎が営んだ別邸。竣工三年後に離れを増築した。北に玄関を構える木造平屋建で、南東の庭に面して座敷を配し、下屋の縁を廻らす。座敷飾にカエデなどの銘木を使い端正な意匠でまとめる。保養地伊東の戦前の別邸として希少。

本館北側に南北棟で東面して建つ、木造平屋建、入母屋造茅葺。南半を土間として五平の独立柱を立て、床上部は食違い四間取系とする。上手奥の八畳に床を構え、表二室は一五畳及び一二畳と広い。柱配置や部材加工等に古式をとどめる、戦前期の民家移築の好例。

太平洋を望むリゾートホテル。テラスは高大な列柱空間を創り、隣に張出すサンパーラーは先端を半円形平面のガラス張とし、雄大な眺望を得る。吹抜けのロビーなどは様々な洋風意匠を駆使し、随所に高級石材や装飾タイルなどを使い、気品ある優れた造形になる。