方一間袴腰付の鐘楼で、屋根は南北棟の入母屋造桟瓦葺。擬宝珠高欄付の縁を三手先腰組で受け、組物間は一二支の彫刻で飾る。上層は粽付円柱を虹梁形頭貫で固め、台輪を廻らして出組の詰組とする。全体にたちの高いつくりで、本坊域入口の景観を整えている。

祖師堂の前方に建つ方三間の吹放ち形式の鐘楼。東西棟の入母屋造本瓦葺で、切石積基壇に太い円柱を立てて、貫で固めるが、中央間は内法虹梁大瓶束とする。組物は三手先詰組で、二軒繁垂木の深い軒を支えた重厚なつくりであり、丸彫や籠彫の彫刻で要所を飾る。

主屋玄関の南正面に構え、東西両側に棟の高い事務所などが接続する。間口四・七メートル、両下造桟瓦葺。中央間を門口として板扉両開とし東脇間に潜戸を開く。梁を五筋架けて軒桁を受け、壁は漆喰塗で腰を目板付竪板張とする。旧家の表構えに風格を添える。

主屋背面に東西棟で建ち、桁行七メートル梁間四・六メートル、土蔵造二階建、切妻造桟瓦葺。南面の中央に戸口を開き、桁行全長に持送り付の庇を設ける。外壁漆喰塗で鉢巻を廻らし、南面の腰を海鼠壁とし、両妻面上部に水切を付す。丁寧なつくりの文庫蔵。