文化遺産オンライン

カテゴリで見る

三重県・多気郡多気町

国指定文化財(登録記念物)立梅用水三重県多気町・松阪市

立梅用水

一級河川櫛(くし)田川(だがわ)に設置された立(たち)梅井堰(ばいいせき)によって取水し,中流域右岸の河岸段丘面に導水する用水路。全長28km,現在の受益面積267ha。灌漑用水のみならず,防火用水,発電用水等多様な利水がなされている。波(は)多瀬(たせ)発電所までの導水路(約4km)に続いて,波多瀬・片野・朝柄・古江・丹生の各地区に幹線用水路が延びている。地元の西村彦(にしむらひこ)左(ざ)衛門(えもん)為(ため)秋(あき)らが立案し,和歌山藩への請願により,文政3年(1820)3月着工,同6年2月に竣工した。廃藩置県後は用水の維持管理費用の捻出が大きな課題となったが,大正9年,三重(みえ)共同(きょうどう)電力(でんりょく)株式(かぶしき)会社(がいしゃ)との契約により,安定した財源を得ることが可能となった。これは現在の中部電力株式会社との契約に継承されている。また,昭和26年以降,県営の改良事業が実施され,今日に至っている。現在の水路は昭和期以降の工事により,基本的に三方コンクリート張りの開渠(かいきょ)となり,一部新たに掘削された隧道が利用されているが,硬い岩盤を刳り抜いた素掘りの隧道や切り通し部分が良好に残り,大半の経路が当初の経路を踏襲していると考えられることとあいまって,近世の土木技術を知る上で貴重である。また,元禄期に和歌山藩の大畑才蔵が測量を実施しており,紀州流と呼ばれる土木工法の実態を解明する上でも貴重である。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))旧多気郡役所六角堂三重県多気郡多気町相可字枇杷ヶ谷1580-2

旧多気郡役所六角堂

多気町役場の敷地内に建つ旧多気郡役所の施設で、平面は正方形の正面両隅を隅切した変則六角形を呈す。内部は一室で格天井とし、正面に切妻造玄関を張出し、懸魚を吊る。屋根頂部の飾り瓦は「紀念館」と刻む露盤に獅子を載せて記念性を表す、独特な形式の建物。