南海電鉄岸里玉出駅の南東に位置する町家。つし二階建切妻造桟瓦葺で、正面庇両脇に桟瓦葺の卯建壁を付し漆喰塗仕上とする。座敷は床と床脇、平書院を備え、玄関廻りは丸窓や木の葉形下地窓、吊床など設けた数寄屋風。重厚な外観が地域の歴史的景観に寄与。

敷地南側接道部分のほぼ中央に建つ。門柱は鉄筋コンクリート造で、洗い出し仕上とし、柱頭に楕円形の庇をのせる。柱の上部には照明のための障子形の枠を嵌め、乳白ガラスに「久」の字をアレンジした社章をあしらう。独特な意匠で工場の表構えを構成する。

正門を入った正面にある築山の裏手に位置。鉄筋コンクリート造平屋建の元防空壕との伝承を持つ。北面は築山に接し、南面に格子窓を左右対称に配置する。戦後に便所として改修され、地下壕は浄化槽に転用されたとみられるが、外観は往事の姿を良好に留める。

事務所の東に正門を挟んで建つ。桁行一九メートル、梁間一一メートルの原材料を保管していた大型倉庫で、木造二階建切妻造鉄板葺とし、南の一部は平屋建越屋根付の屋根とする。南面は下見板張や小庇付引違窓などで、品質管理室と統一的な外観とする。