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兵庫県・小野市
国指定文化財(史跡名勝天然記念物)広渡廃寺跡小野市広渡町・敷地町・鹿野町
国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))黄地牡丹蓮唐草文緞子胴服兵庫県小野市立好古館 兵庫県小野市西本町477
表地は、牡丹と蓮を二重蔓で繋いだ唐草文の緞子、裏地は薄紅練貫平絹【ねりぬきへいけん】の袷【あわせ】仕立ての胴服である。
その形態は、身幅が広いわりには袖幅が狭く、立褄【たてづま】が短いなど一見して桃山時代の小袖類の特色が認められる。細部においても、例えば背割れの丸みを付けるのに、桃山時代の小袖の袂【たもと】の丸みを付ける手法と同じく、裂【きれ】の隅を摘んで糸で括る方法がとられている。
なお、本胴服には衽【おくみ】が付いているが、衽付きの方が古式と見なされている。
上質の緞子裂を用い、形態・仕立てに古様を示す保存良好な数少ない胴服として貴重である。
因みに本胴服は播州(現兵庫県)・小野藩一柳【ひとつやなぎ】家に伝来し、豊臣秀吉(一五三六-九八)から一柳直末(一五五三-九〇)が拝領したと伝えられている。(挿図は三四ページ参照)
国指定文化財(国宝)浄土寺浄土堂(阿弥陀堂)兵庫県小野市浄谷町
浄土寺浄土堂(阿弥陀堂) 一棟
浄土寺は東大寺の播磨別所として重源(一一二一~一二〇六)が建立したところである。浄土堂はその中心となる建物であって建久三年(一一九二)の建立になる。堂は桁行三間、梁間三間、宝形造であるが、柱間が非常に大きいので、出入口の部分では小脇柱を立てて、中央部に桟唐戸を入れる。紐物に挿肘木を用い、斗の配置は自由であり、断面円形の丸桁で隅だけ扇となった垂木をうけている。また中備には遊離尾垂木を用いている。軒は反がなく直線で、垂木先には鼻隠板を打つ。内部はすべて天井を張らず化粧屋根裏として、断面円形の虹梁と大瓶束とを用いた力強い架構法を現している。以上のごとくこの堂はその様式がきわめて特異である。これは重源が輸入した新様式で、大仏様の特徴であって、浄土堂は大仏様の最も純粋な遺構として重要である。
【引用文献】
『国宝辞典(四)』(便利堂 二〇一九年)