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奈良県・生駒郡斑鳩町

国指定文化財(国宝)法隆寺東院夢殿奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内

法隆寺東院夢殿

法隆寺東院夢殿 一棟

聖徳太子を追慕して創立された法隆寺東院の中心建物で、著名な救世観音を本尊とし、あわせて東院の創立と再興とに尽力した行信・道詮の像を安置する。この地は太子の住居であった斑鳩宮の跡地と伝えられていたが、昭和九年以降の修理工事にともなう発掘調査で、当時の掘立柱建物数棟を発見し、そのことが確認された。また、この調査では東院創立当初の回廊や南門の規模も判明した
その創立を天平一一年(七三九)とする『法隆寺東院縁起』には多少の疑問ももたれるが、天平宝字五年(七六一)の『法隆寺東院資財帳』には夢殿以下各堂宇の記録があるから、少なくともそれ以前の建立であることはまちがいない。
堂は八角形の平面をもち、一般に八角円堂と呼ばれる。建立以来何回かの修理をうけてきたが、なかでも寛喜二年(一二三〇)の修理は大改造をともなったもので、今見る姿はほぼこの時に定まった。改造の主な点は、組物を一段分積み重ね、軒部材を新材にとりかえて軒の出を増し屋根勾配を強くしたなどで建立当初と比べると建物の建ちが高くなり、全体に鎌倉時代らしい武骨さが強まったといえる。
このように中世の改造はあるものの、当初形態の復原も可能で、栄山寺八角堂とともに奈良時代の円堂を今に見ることができるのは幸いである。なお、頂上の露盤宝珠は宝瓶に八角形に宝蓋や華麗な光明をともなったもので、世上著名な優作である。

【引用文献】
『国宝大辞典(五)建造物』(講談社 一九八五)

国指定文化財(国宝)法隆寺金堂奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内

法隆寺金堂

法隆寺金堂 一棟

 聖徳太子創立の伽藍が天智九年(六七〇)に焼失したあと、寺地を西北方に移して建立されたのが現在の西院伽藍である。中門・廻廊に囲まれたなかに、東に南面する金堂、西に五重塔が並んで建つ。
 金堂は、二重基壇上に建ち、ふくらみのある丸柱を立て、上に皿斗付の大斗をのせ、柱筋は肘木に雲斗をのせて通肘木を重ねる。軒先に出る雲斗雲肘木は流麗な曲線状の独特のもので、金堂では渦文を彫る。尾垂木先の雲肘木で出桁をうけ、軒は一軒で、反りのない角垂木を平行に配する。
 初重内部の柱も側柱と同じ高さで、上に三斗を組む。内部は土間で母屋に折上組入天井、周囲の庇は組入天井を張り、母屋一杯に土築の仏壇を構え、本尊釈迦三尊像以下を安置する。壁の内側には阿弥陀浄土などの壁画を画き、内陣小壁に飛天、天井板には蓮華文を画く。
 二重も雲斗雲肘木で屋根は勾配の強い入母屋造とし、大棟には本来鴟尾がのっていた。周囲に卍崩しの高欄をめぐらし、高欄の地覆を三斗と人字形割束でうける。裳階はやや遅れて取りつけられたもので、土台上に角柱を立て板屋根とする。
 世界最古の木造建造物で、全体の均衡もきわめてよい名建築である。

【引用文献】
『国宝大辞典(五)建造物』(講談社 一九八五年) 

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))中宮寺表御殿奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺北1-1-2

中宮寺表御殿

敷地の中央に位置し,本堂の北側に西面して建つ。桁行6間,梁間4間半,木造平屋建,入母屋造,本瓦葺。南東隅に御上段の間を設け格天井とし,北東隅に御座の間等計6室を配する。貼付壁や襖絵等上質で,細部意匠等,書院建築の遺構として貴重である。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))來田家住宅離れ奈良県生駒郡斑鳩町五百井1-3-26

來田家住宅離れ

1階を和風,2階を洋風とした折衷建築。1階は6畳と8畳座敷の2室で,2階は10畳洋間1室とする。2階外部はドイツ壁風の仕上げで,出隅部にコリント式の角柱形を付ける。内部煖炉廻りの精巧な人造石仕上げや漆喰装飾などにも見所がある。