アメリカ移民で財を成した貿易商の屋敷内水道のための井戸と給水塔。主屋南東側に位置し、煉瓦造モルタル仕上の給水塔を花崗岩石組井戸の上部に載せる。平面一メートル四方、高さ二・八メートル、井戸水を貯めたタンクの水量計や給水するパイプ等の痕が残る。

アメリカ移民で財を成した貿易商の屋敷北外郭に廻らす塀。旧接続道側を石塀、裏側となる北西を鉱滓煉瓦塀とする。石塀は江戸切りの石をはめて笠石を載せ、煉瓦塀は長手積で笠石は小口積にモルタルを盛る。門柱は柱頭頸切り角柱に木瓜形を彫り意匠を凝らす。

アメリカ移民で財を成した貿易商の道具蔵で主屋北に接続する。土蔵造二階建、入母屋造桟瓦葺、軒は漆喰仕上で壁を竪板張。戸口は敷地北辺石段側と主屋一・二階の三箇所で利便性を高める。集落を見渡す北面は窓を並べ、繰形付持送りで出桁とし、意匠を凝らす。

アメリカ移民で財を成した貿易商が郷里の屋代地区に建てた近代和風邸宅。入母屋造桟瓦葺、二階建南北棟を中心に中庭を囲んで角座敷を延ばす。全体を和風意匠とする一方で、板敷の台所にアメリカから持ち帰ったオーブンや水廻り設備を置き、水道も整備する。