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宮城県・遠田郡涌谷町
国指定文化財(史跡名勝天然記念物)長根貝塚遠田郡涌谷町
長根貝塚は、北上川の一支流である江合川と、迫川によって開柝された大貫丘陵から、東へのびる細長い半島状の高さ12.3メートルほどの台地上にある。貝塚は、ほぼ馬蹄形をなし、東西約300メートル、南北約250メートルにおよぶ縄文時代前期の末葉から中期に至る大貝塚と、それより西に点在する晩期の小貝塚に分かれ、いずれもシジミを主体とする淡水産貝類から構成されている。
昭和43年度の調査の結果、獣類・鳥類・魚類・貝類などのほか、多数の土器・石器をはじめ、骨角器・土偶・耳栓・〓(*1)状耳飾りが発見され、さらに遺跡の南部から2個の竪穴住居跡が検出された。中期を代表する円形プランの竪穴で、宮城県下では最初の発見である。本貝塚は規模も大きく、遺構・遺物に恵まれ、保存もよく、東北地方の代表的な貝塚と考えられる。
昭和45年3月9日指定の本貝塚は、東西にのびる低丘陵上に位置する繩文時代前期末から中期及び晩期にかけての大規模な淡水産貝塚であるが、貝層の分布がさらに確認された南寄りの地域を追加指定する。
国指定文化財(史跡名勝天然記念物)黄金山産金遺跡遠田郡涌谷町
陸奥国小田[むつのくにおだ]郡は、奈良時代から金の産出地として知られており、黄金山神社境内を流れる小川からは、いまでも少量の金が検出される。黄金山神社は「延喜式」巻10に見えるが、昭和32年、現神殿とその背後の玉垣付近を発掘調査した結果、建物基壇が発見され、4個所に根石が遺存していることが判明した。また、境内から奈良時代の軒瓦[のきがわら]等が出土したほか、付近から「天平」と箆書[へらがき]した文字瓦と瓦製宝珠[ほうじゅ]の破片が発見されているので、この地に奈良時代につくられた建物があったことは、明らかである。この事実より、黄金山神社境内の発掘遺構は、産金にちなんだ建物跡と考えられ、奈良時代の産金関係遺跡として歴史的意義が深い。