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佐賀県・伊万里市

国指定文化財(史跡名勝天然記念物)伊万里湾カブトガニ繁殖地佐賀県伊万里市

伊万里湾カブトガニ繁殖地

カブトガニは剣尾綱(けんびこう)カブトガニ目カブトガニ科に属する節足動物(せっそくどうぶつ)である。種名にカニが含まれるが甲殻類ではなく,分類学上はカニよりもクモに近い。背面は甲羅(こうら)に覆われ,尾剣(びけん)と呼ばれる特徴的な剣状の長い尾を持つ。本種を含むカブトガニ科は,約2億年前の中生代(ちゅうせいだい)・ジュラ紀(き)にヨーロッパからアジアにかけて生息したとされるメソリムルスの化石と形態が酷似しており,生きた化石とも呼ばれ,古生物学や進化生物学上貴重である。カブトガニは,かつて瀬戸内海のほぼ全域と九州北部の海岸一帯に連続して分布していたが,近年個体数が減少し分布域も縮小している。環境省レッドリストでは絶滅危惧Ⅰ類に選定されており,国内での絶滅が懸念されている。
指定対象区域は,佐賀県伊万里市の伊万里湾内奥部東側の海域及び海岸部である。当該区域内にはカブトガニが産卵する砂地とその幼生が生育する干潟が良好な状態で維持されており,カブトガニが安定的に繁殖していることが確認されている。また,地元保護団体により産卵地清掃や産卵観察会等の活動も盛んに行われている。指定対象区域は,学術上貴重なカブトガニが安定的に繁殖する重要な繁殖地であり,また,地域における保護意識も高いことなどから,天然記念物に指定して,その一層の保護を図るものである。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))前田家住宅水車小屋佐賀県伊万里市立花町字ロノ町4028

前田家住宅水車小屋

西の蔵の北に接続して西側街路に面して建つ。棟を南北に通す桁行の長い建物で,南端部を2階建とし階下を裏庭に通じる2階建の門口とする。水車施設は失われ,門部分は改造されているが,軸部,外観等はよく残り,大規模民家の生活施設を知る上で貴重である。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))前田家住宅薪小屋佐賀県伊万里市立花町字ロノ町4028

前田家住宅薪小屋

平屋建,切妻造,桟瓦葺の小規模な建物で,北の蔵の西に接して建つ。住居として内部は改造されているが軸部や外観は旧状を残す。敷地北辺を区切る位置にあり,薪その他を収納する施設として,北の蔵,水車小屋とともに主屋裏庭の作業空間を形成する。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))前田家住宅北の蔵佐賀県伊万里市立花町字ロノ町4028

前田家住宅北の蔵

屋敷の北辺を区切る位置に建つ土蔵。2階建,切妻造,瓦葺で,南面屋敷側に下屋を付け蔵前とする。主屋裏庭の後方に物置として建設されたもので,下屋の東半にも簡易な仕切を設け,この部分も作業用具の収納場所とする。簡素だが,丁寧で堅牢な造りである。