文化遺産オンライン

カテゴリで見る

栃木県・宇都宮市

国指定文化財(国宝・重要文化財(美術品))栃木県上神主・茂原官衙遺跡出土刻書瓦栃木県宇都宮市竹下町380-1

栃木県上神主・茂原官衙遺跡出土刻書瓦

 上神主・茂原官衙遺跡は、古代下野国河内郡衙と考えられる。本一括はその内、8世紀後半の礎石瓦葺建物跡から出土した刻書瓦である。
 その内容はほとんどが人名で、主に当時の郷名と共通する氏、および名が刻書される。最多の氏は「酒マ (※)」次いで「雀マ 」であり、「丈マ 」「大麻マ 」「白マ 」なども比較的多い。主に当時の河内郡にあった郷名と共通し、酒部郷・丈部郷・大續(大麻)郷・真壁(白髪 )郷と関連する。「神主マ 」や「雀マ」は、「上神主・下神主」「雀宮」という現在に残る地名と関係する。
 同一の氏・名においても、文字遣いや筆跡が異なる刻書があり、2名から3名の書き手の存在がうかがえる。
 これらは礎石瓦葺建物に関する、河内郡およびその周辺氏族の関わり方や、瓦の生産・供給の在り方をうかがい知ることができる、貴重な遺構出土の一括である。
 ※「部」の略字として、つくり(阝)の部分のみが使用される。これをさらに略して「マ」の字状に表現される。ここでは、形が近い片仮名のマで記載している。

国指定文化財(重要有形民俗文化財)佐野の天明鋳物生産用具及び製品栃木県宇都宮市睦町2-2

佐野の天明鋳物生産用具及び製品

 佐野における鋳物生産の起源は、天慶年間(938~947)に遡るとされ、梵 鐘や茶の
湯釜、農具、生活用品など幅広い製品を鋳造しており、当地で造られた鋳物製品は、佐野の古い地名をつけて「天明鋳物」の名で広く知られている。天明鋳物の生産は、原材料の調整にはじまり、鋳型の製作、鋳型を組んで固定する型合わせ、鉄や銅などの金属材料の溶解、溶かした材料を鋳型に流し込む湯入れ、鋳型から製品を取り出す型ばらし、仕上げの各工程を経て完成となる。本件は「天命鋳物伝承保存会」と佐野市が協力し、その調査と収集を進めてきたもので、生産の各工程で使用された一連の用具が揃っており、当地で鋳造された主要な製品もあわせて収集されている。

国指定文化財(登録有形文化財(建造物))宇都宮大学峰ヶ丘講堂(旧宇都宮高等農林学校講堂)栃木県宇都宮市峰町350

宇都宮大学峰ヶ丘講堂(旧宇都宮高等農林学校講堂)

大学構内の北西に北面して建つ講堂。切妻造桟瓦葺妻入で外壁は柱形付下見板張とする。内部は正面に演台を据え側背面にギャラリーを廻らす。直線を強調した平坦な壁面や柱頭飾、天井の緩やかな円弧状アーチ飾りなど、セセッション的意匠で全体をまとめた優作。

国指定文化財(史跡名勝天然記念物)大谷の奇岩群 
 御止山
 越路岩
宇都宮市

大谷の奇岩群 <BR/> 御止山<BR/> 越路岩

 大谷磨崖仏を本尊とする大谷寺の周辺地域は、緑色凝灰岩から成る一群の奇岩が田園地帯の中に屹立していることで有名である。特に近世から近代にかけては、岩体に松樹が点綴するその姿から「陸の松島」とも呼ばれ、独特の自然の景勝地として多くの人々に親しまれてきた。大谷の地形を特色づける緑色凝灰岩は、この地域に厚さ約300mにわたって堆積しており、今から約2,400万年前に海底火山の噴出物によって海底で生成されたものとされている。軟質で加工が容易であったことから、古く古墳の石室の材料としても切り出されたほか、近世以降には屋根や壁などの建築用材としても重宝され、全国に「大谷石」の名で知られた。このような採石業の発展と併行して、特に近代以降には紀行文、絵葉書、絵画、俳句等を通じて全国に紹介され、大谷は自然の奇岩群から成る景勝地としても知られるようになった。
 このように大谷寺背後の御止山の区域と、「陸の松島」を代表する奇岩として有名な越路岩の区域を含む大谷の奇岩群は、自然の景勝地として重要な意義を持ち、その観賞上の価値も高い。