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日本航海図〈(羊皮紙著色)/〉

にほんこうかいず〈(ようひしちゃくしょく)/〉

概要

日本航海図〈(羊皮紙著色)/〉

にほんこうかいず〈(ようひしちゃくしょく)/〉

歴史資料/書跡・典籍/古文書 / 江戸 / 関東 / 東京都

東京都

江戸

1面

三井記念美術館 東京都中央区日本橋室町2-1-1三井本館7階

重文指定年月日:19950615
国宝指定年月日:
登録年月日:

公益財団法人三井文庫

国宝・重要文化財(美術品)

ポルトガル人等の日本への来航にともなってもたらされた技法による、ポルトラーノ型日本航海図である。羊皮紙一枚の表面に胡粉を施し、彩色をもって本州・四国・九州等を描く。図の中央とその周囲に環状に並ぶ一七の点(方位点)から方位線が各三二本引かれ、左上の方位点一点は朱・藍・黒・緑色で彩色された方位盤となっている。図の下部にはスケール表示があり、左端には南北に緯度度盛線が引かれ、朱、藍、緑色で区分し北緯三一度から四一度までの数字を記入する。右端にも同様の墨線が引かれているが、区分も数値もない。さらに左右の緯度度盛線および類似線の外側に平行して同じような墨線があるが、区分・数値等はない。
 日本国土は、国界線を引き、国名を記し、海岸部は国別に色分けする。藩庁の所在地と大坂・京・駿府・江戸を城の形の記号で表示し、地名を付す。そのうち江戸城は後に城の形を擦り消してひときわ高く描き起こして金泥を施し、同じく大坂城・二条城・駿河府中城にも金泥を施している。長崎・堺など城下町以外の地名もある。また河川と湖沼が詳密に描き込まれ、富士山と筑波山が描かれる。製作時期は、図中の城の存続年代から十七世紀半ばと推定される。
 本図は当時作製された他の日本図よりも全体に正確であり、特に西日本の地形についてそれがいえる。羊皮紙製日本航海図としては東京国立博物館保管図(重要文化財)と本図の二面のみが現存する。
 日本図は図形を緯度上に定位させるために列島の測地が必要であり、西洋流の測量術に基づき行われたとみられる。その成果により作製された日本航海図は実用的で科学的意義があり、日本人が独自に作製したポルトラーノ型海図として地図学研究上等に貴重である。

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