明月記〈建久十年春/自筆本〉
めいげつき
概要
藤原定家が従四位上右近衛権少将兼安芸権介であった三十八歳の時の日記の自筆清書本で、建久十年(一一九九)春正月一日から三月二十九日までの記事を収めている。本文の書風は定家晩年の筆跡で、後筆の墨首付のほかは訂正・加筆はほとんど見られず、清書本の中でも整った姿を伝えている。
記事中には、源頼朝の死とその後の朝廷・武家の政治的動向を伝える記載がみえ、また二月の春日祭に定家が祭使を勤めた際の次第を詳述した「春日祭使勤仕記」など注目すべき内容が多く含まれている。