魚津埋没林
うおづまいぼつりん
概要
曽テ陸上ニ繁茂シタル原始林ガ陸地ノ急激ナル陷沒ノタメ海中ニ沒入シ尋テ土砂ノ被フ所トナリタルモノナリ樹種ハすぎヲ生トシ多少ノ濶葉樹ヲ交フ樹齢ハ二百年乃至五百年ヲ主トシ稀ニ千年ニ及ブ埋沒樹ノ大部分ハ只其ノ樹株ヲ存スルノミナルモ中ニハ倒木ノ長キ樹幹ノ保存サルヽモノモアリ原始林下ニアリタル落葉層モ亦泥炭トシテ保存サルヽヲ見ル此等ノ埋沒樹ノ既ニ發掘サレタルモノ百六十餘本ニ及ベドモ尚多數ノ樹株、樹幹ガ附近一帶ニ埋沒シ居ルコトヲ豫想シ得ベシ
曽て陸上に繁茂していた原始林が、陸地の急激な陥没によって海中に没入し、次で土砂に被われて風化をまねがれたものである。樹種はスギを主とし多少の濶葉樹があり、樹令は200〜500年、まれに1000年に及ぶ。発掘された樹根は直径4メートルに達するものをはじめその数200本を越えるが、更に多数の樹株、樹根が埋没しているものと予想される。海中の埋没林でその旧態をよく残すものとして他に類例がなく、学術上の価値が極めて高い。