塚原古墳群
つかわらこふんぐん
概要
S51-12-020[[塚原古墳群]つかわらこふんぐん].txt: 熊本平野の南端、浜戸川と支流が形成する塚原台地上に営まれた古墳群である。九州縦貫自動車道の建設に伴い熊本県教育委員会が事前発掘調査した結果、厖大な数の方形周溝墓、前方後円墳、円墳などを検出して注目をあびた。
自動車道用地内では、塚原台地は、南・北の2つの丘陵に岐れているが、その南側の丘陵の上にも北側の丘陵上にもこうした古墳が営まれている。調査の結果では、方形周溝墓39基、円墳・小円墳34基、前方後円墳1基、石棺18基、石蓋土拡1基が用地内で発見されている。方形周溝墓は比較的大規模なものが北丘陵上の南に集中しており、北には小規模なものが集中している。また円墳・小円墳中、大規模なものは、北丘陵の南・北部に点在しているが、南丘陵では専ら南縁に大規模なものが、北縁に小規模なものが集中する傾向がみられた。
前方後円墳は、3基が所在したと伝えられているが、現在琵琶塚古墳、花見古墳が見られる。調査地は、九州縦貫自動車道用地に限定されているが、なお、この種の遺構が広く東西にひろがることは十分に推察されるところであり、その厖大な遺構の在り方は他に例を見ないものとして注目されるところである。なお、昭和50年、この塚原台地全域を試掘調査し、その遺跡のひろがりを明確にし、この丘陵の低みに集落が営まれていることを確認している。
自動車道用地内調査の結果、この地域における古墳時代前期末から後期後半にわたる墓制が方形周溝墓、円墳ともに共存しながら展開することが知られており、加えてその両者ともに規模に画然たる違いを見るだけでなく、首長墓とされる前方後円墳をも見るなど、集落の内部における身分的な差が明確に古墳群の上に示されており、中部九州におけるこの地域を窺う極めて重要な古墳群とみられるのである。