銅王子形水瓶
どうおうじがたすいびょう
概要
外反りの顕著な高台に卵形の胴部をのせ、口縁と下方が朝顔形に広がる長頸を具えた王子形水瓶。口縁部の内側と高台内側に、それぞれ一条あるいは二条一組の圏線を挽き表し、長頸下端と胴部と境目には一条の紐帯を飾っている。本体は一鋳であるが、底板は別材で嵌め底としている。材質は佐波理(さはり)質に近く、器形は胴の卵形がやや下膨れとなり、高台にかなり顕著な外反りが見えることから、8世紀初頭の唐時代とするのが穏当であろう。
奈良国立博物館の名宝─一世紀の軌跡. 奈良国立博物館, 1997, p.287, no.44.