横尾貝塚
よこおかいづか
概要
横尾貝塚は、別府湾南東岸の低位段丘から派生する緩斜面地標高4〜9mに立地する。
14世紀代よりその存在が知られ、18世紀の絵図には「貝殻天神」としてこの貝塚が描かれており、現在に至るまで地元で保護されてきた貝塚でもある。
遺跡は縄文時代早期後葉から後期前葉まで、大きく4期に分かれて変遷する複合遺跡である。早期後葉は、石器の素材となる姫島産黒曜石の大型石核や剥片が大量に出土することから、石器石材の流通拠点となっていたことがわかる。前期前葉から中葉については、貝塚下部とその周辺で獣骨集中部が確認された。中期前葉から中葉については、貝塚上部だけに限られるが、九州では数少ない中期貝塚であるだけにその重要度は高い。後期前葉としては、貝塚を切り込む合計20体の人骨が検出された土坑墓、谷部先端の沼沢地で検出されたイチイガシを主体とする低湿地型貯蔵穴、緩斜面地の竪穴住居等からなり、墓地と谷部を含めた広範囲の生活領域が明らかになった。
このように、横尾貝塚は、その時々の地形や動植物生態系に対応した豊かで多様な生活を営んだ、大規模な拠点的集落としてきわめて重要である。