男神岩・女神岩・鳥越山
おがみいわ・めがみいわ・とりごえやま
概要
北上高地の北部に水源を発し、北流して太平洋へと注ぐ馬渕川は、岩手県二戸市と一戸町の境界付近において支流である安比川と合流する。その沿岸は、川の左右から丘陵が迫り、断崖と渓流・淵などから成る美しい峡谷地形を成している。
この峡谷地形は「馬仙峡」と呼ばれ、左岸の急傾斜面に約280mの間隔で男神岩と女神岩が屹立し、直下の明神ヶ淵や大淵などを挟んで対岸に鳥越山(標高375.1m)がなだらかな山容を見せて広がる。男神岩・女神岩の周辺の地域は安山岩から成り、爆発を繰り返しつつ隆起した海底火山の火口の一部が残存したものと考えられている。また、鳥越山の頂上付近の南面崖地には、火成岩の脆弱な部分が空洞化して形成された洞穴があり、内部に観音像が祀られて糠部三十三所観音巡礼の札所として今なお多くの参詣者の崇敬を集めている。
このように、男神岩・女神岩・鳥越山は馬淵川沿岸における独特の地形・地質を表し、特に男神岩・女神岩は夫婦岩にも準えられ、男神・女神にまつわる伝説を生んだ。その観賞上の価値は高い。