鳥と琴を弾く埴輪
とりとことをひくはにわ
概要
裏面に紙片2枚貼付:とりと琴を弾くはにわ 三岸節子
出品:新制作協会第21回展(1957)
黄色と茶色で二つに分けられた画面の中に、人や鳥の形をした埴輪たちが古代の琴の音色に集うように描かれている。褐色のみで全体をまとめ、引っかいた線により埴輪の乾いた素朴な感じを表現している。シャープで洗練された構図の中にも、色調や質感にはどこか温かみが感じられ、古代への郷愁を誘う。古い壺がもつ深い味わいに惹かれて早くから絵のモチーフにしていた作者は、初渡欧からの帰国後、埴輪に強い興味を持つようになる。異国に身を置いたことで、それまでフランスの近代画家に強い影響を受けた制作から脱し、日本人としての民族性を意識するようになっていた。近代化が進み、機械文明が浸透する中で、古代の遺物に見られる素朴さや力強さが現代人に訴え、岡本太郎などによる縄文土器を美術品として捉えるような時代背景も作者の目を埴輪に向わせたのかもしれない。
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一宮市三岸節子記念美術館