赤壁図
せきへきず
概要
蘇東坡(蘇軾)は、宋の元豊5年(1082)、夏秋二度にわたって湖北省黄岡県の揚子江に遊び、『前赤壁賦』を綴った。以来、前後赤壁の景勝は中国およびわが国において好画題とされ、芦雪もここではそれら先例に倣い、「月東山に出て、斗牛の間を徘徊す。白露江に横たわり、水光天に接す」と嘆じた前赤壁を左隻に、「霜露既に降り、木葉尽く脱す。人影地に存り、仰ぎて名月を見る」と詠じられた後赤壁を右隻にあてている。筆者長沢芦雪(1754〜99)は、京に生まれ、円山応挙について画を学んだ。師風を超えた奇抜な構成や奔放な筆致によって異彩を放ち、本図も山容樹木の布置とその形態ははなはだ特異な観を呈し、筆墨も奇抜で、画面に活気が横溢する。
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