桜下蹴鞠図
おうかけまりず
概要
向かって右隻には、桜樹に囲まれて公卿や僧侶、稚児らが蹴鞠にうち興じる姿を、左隻には垣根の外の水際で主人を待つ従者たちの様子を描く。待ちくたびれてあくびをする姿がユーモラスである。画面右上に水平に邸の縁を配したうえで、桜の幹と人物が上下方向の運動感を生んでいる右隻と、垣根の斜線や水際の曲線で画面を大胆に画し、下辺に静的な人物を集めた左隻。巧妙に図られた構図の対照がみごとである。飄逸(ひょういつ)にしておおらか、しかし雅な人物の表現とあわせ、近世初期に活躍した俵屋宗達、その工房で制作されたと考えられる。
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公益財団法人 根津美術館