旧馬場家牛込邸
きゅうばばけうしごめてい
概要
旧馬場家牛込邸は,富山で海運業を営んだ馬場家の東京における拠点として,昭和3年に牛込台地の高台に建てられた。昭和22年以降は最高裁判所長官公邸となっている。設計は逓信省営繕技師であった吉田鉄郎である。南の庭園に面して和洋の客間や居間などを雁行形に連ね,和洋の意匠や空間の機能を巧妙な組合せと合理的な平面構成でまとめており,入母屋屋根や下屋庇を駆使した外観も絶妙に庭園と調和している。旧馬場家牛込邸は,東京に残された希少な大規模和風建築である。洗練された比例や精緻な造形,装飾的な細部を押さえつつ上質の良材を効果的に演出した設計手法など,昭和初期を代表する和風建築として高い価値を有している。