染分地観世水模様素襖
そめわけじかんぜみずもようすおう
概要
能で使用する素襖で、黒地と薄茶地で松皮菱の形に上下に染め分け、その境界を白線で染め残している。薄茶地の部分に紺色の観世水が型染めで表され、背・胸・袖・袴の腰板の六ケ所に「三鐶内唐花紋(みつかんのうちからはなもん)」が染め抜かれている。
観世水は楕円形の渦水文で、観世流謡本の表紙に使われていることでよく知られる。江戸時代には染織品や漆工品の意匠として多く用いられた。
そのいわれは観世家の京都屋敷跡(京都市上京区大宮通今出川上ル観世町)にある井戸の水面が渦巻いていたためで、龍が降りてきてこの井戸に入ったという伝説があるが、実際には地下水の合流点であるためらしい。現在は西陣中央小学校の隣接地に観世稲荷と観世龍王が合祀されて観世稲荷社が建つ。井戸の前には「観世水」の石碑があり、観世水・観世井戸と呼ばれている。
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国立能楽堂 資料展示室