御神崎
うがんざき
概要
石垣島の最西端にあたる屋良部(やらぶ)半島は,周囲を緑色凝灰岩の断崖が取り巻き,海域を挟んで遥か西の彼方に西表島を望める風光明媚な景勝の地である。特に半島北端部の岬は,御神崎の名の下に神が降臨する聖地として石垣島の人々の崇敬を集めてきた。1647年頃の「宮古・八重山両島絵図帳」には「おかみ崎」と表記するが,古謡又は願い口(ニガイフチィ)では「うがんざき」と発音し,他に「ウカン・サキィ」と発音するとの説もある。現在では,「ウガンザキ」以外に「オンザキ」・「オガンザキ」とも発音する。岬の北側約20mの海中に屹立する緑色凝灰岩の岩島の頂部には「ブナリヌツブルイシ(姉の頭石)」と呼ぶ岩があり,大酒飲みの弟を諌めようとした姉が逆に切り付けられ,その頭が動かぬ岩と化したとの民話が伝わる。古謡によると付近の海域は航行の難所としても著名で,御神崎はかつて神女(ツカサ)たちが航海安全の祈願を行う聖地でもあった。石垣島の歴史・文化・伝承を知ることができる風致景観として意義深い事例である。
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国指定文化財等データベース(文化庁)