紙本着色地蔵・十王図
しほんちゃくしょくじぞう・じゅうおうず
概要
紙本着色地蔵・十王図
しほんちゃくしょくじぞう・じゅうおうず
東京都
江戸時代
第1素広王~第8平等王の8王はすべて正面に向かって坐し、従者ともに前方で鬼に責められている亡者を裁く状を表す。第9都市王は左膝を立て、向かって右上方の雲上の仏立像及び「法華経」の題箋ある巻子本に向かって三従者ともに合掌し、前方には釜茹で及び崖から墜落する亡者、並びに亡者を刺した槍をもつ鬼を見る雲上の比丘を描き、第10王道転輪王は亡者の身体に釘を打つ鬼の髪を掴み、首を右に傾け前方で亡者を救済する地蔵菩薩を凝視する姿を描く。各図とも上方雲上に各王の本地仏を図示してある。また第5閻魔王の髪・髯・鬚は白いが他の9王のそれは黒い。
色彩・人物の容貌・服飾及び都市王図の法華経が7巻であること等から、この十王図は近世の中国系統の図様と認められるが、平等王図の中の相い戦う武士の鎧が和風であること、各王の本地仏が描かれていること等から、おそらくは中国系統の原図の若干の改作を加えて邦人が模写したものと思われる。王名や筆者名の記載はない。
通常の十王図は十王すべてが亡者を裁く状を表しているに対して、この図の第9・10両王の図様は特異である。とくに第9王の図は唐蔵川述の「地蔵菩薩発心因縁十王経」の所説に基いて作図されたものと思われる。
なお、この第9王図と同様の構成を同じくする図が新小岩照明寺に存する。
また平成22年8月23日、浅井先生による調査により、昭和55年3月に指定された十王図のほかに、紙本着色地蔵菩薩・両脇侍蔵三幅が見つかった。地蔵菩薩・両脇侍蔵三幅は、以前より指定されている十王図と一括として捉えられる資料である。
紙本着色地蔵菩薩・両脇侍像三幅。
地蔵菩薩は正面向き、右手は胸前で錫杖の柄、左手は胸前で宝珠を持ち、蓮華座に坐す。蓮華座下には水波に囲まれた岩座、宝珠付輪光背および天蓋がある。童子の一は腰を屈め、両手で杖に倚り、斜右向きに流水に囲まれた岩座上に立つ。おそらく赤童子であろう。他の童子は頭上に開蓮を頂き、合掌、左脇に紡錘状のものを挟む。台座は前者に同じ。尊名不詳。三幅とも「智山画 ㊞㊞」の落款がある。
「紙本着色地蔵菩薩・両脇侍像三幅」は、資料全体の中心となるものである。
十王図
紙本着色 紙装軸仕立
各軸とも 竪108 横49 (cm)
地蔵三尊図
紙本着色 紙装軸仕立
①竪108 横47.2
②竪108 横47.2
③竪107.7 横47 (cm)
13幅
葛飾区細田3-5-10
葛飾区指定
指定年月日:19800307
宗教法人東覚寺 代表役員 柏原慶純
有形文化財(美術工芸品)
近代以前から東覚寺に所蔵されていたものであろう。