運河
うんが
概要
水辺にたたずむ五人の人物。強い光に照らされ、背後を振り返る女性の視線をたどると、茜色に染まりつつある空が、水面に美しく映じています。鋭敏な色彩感覚を示す水辺の表現は、川や海の景色に親しんだ、郷里での視覚体験から培われたものでしょうか。
池田快造(1911-1944)は、広島県三原市出身。画家を志して上京し、東京美術学校在学中から公募展で受賞を重ねます。特異な色彩感覚と画面構成力を活かし、独創的な作品を発表しますが、間もなく療養のため帰郷。終戦を待たずに郷里で亡くなりました。
この作品は、大胆な構図と勢いのある筆触が、横溢する制作意欲を伝えるようです。東京で活動した最後の年に描かれ、光風会展で特賞を受賞、画業を代表する一点となりました。