新撰朗詠集断簡〈(山名切)/(更衣)〉
しんせんろうえいしゅうだんかん〈(やまなぎれ)/(こうい)〉
概要
本作品は「山名切」と呼ばれる古筆切で、『新撰朗詠集』の断簡である。
『新撰朗詠集』上巻の夏部から「更衣」の漢詩二句と、同じく春部の「躑躅」の和歌一首の断簡を貼り継いでいる。料紙は、金銀箔を散らし銀泥で折枝文の下絵を描いた装飾料紙を用いており、きわめて装飾が豊かな調度手本として作成されたものと考えられる。
書風は字形を明確にする独自な筆遣いである。『新撰朗詠集』は藤原基俊(1060~1142)が編纂したものであり、「山名切」も筆者は藤原基俊といわれている。
本作品は、撰者自筆本の可能性がある古筆切として、極めて重要な史料である。