氷華磁草花文花瓶
ひょうかじくさばなもんかびん
概要
作者は茨城県に生まれ、東京美術学校彫刻科で高村光雲に師事。卒業後、陶芸の道へ。郷里の筑波山に因み波山と号し、明治37年現在の東京都北区田端に築窯。葆光彩磁(ほこうさいじ、素地に彩色し艶消し釉を施釉して焼成)を創案し、薄肉彫を施した青磁・白磁など東洋の古典に倣う一方、西洋からアール・ヌーヴォー等も取り入れ、拡張高い作品を制作しました。昭和4年帝国美術院会員、同9年帝室技芸員、同28年文化勲章受章。
作者は白素地に透明釉をかけた作風を「氷華磁」と呼びました。中国古陶磁の学習から創り出された作風で、南宋代(12~13世紀)の影青(いんちん、浮彫の窪みに溜まった釉薬が影のように青く発色した白磁)に倣ったものです。高村光雲に鍛えられた精緻な彫刻技術による得意の薄肉彫りで、草花文が優雅な立体感を持って彫りだされ、端正な形体とあいまって、この上ない気品と清浄感をかもし出しています。