唐物堆朱牡丹文筆
からものついしゅぼたんもんひつ
概要
「堆朱」とは、朱漆を何回も塗り重ね、その漆の層に彫刻を施したもの。漆を塗っては乾かし、幾度も塗り重ねて厚みを出してから彫刻するという二重の手間がかかることから極めて高価なものであったが、複雑な色調と彫刻による独特の味わいがあることから大変好まれた技法である。特に、筆の場合は彫刻部分が滑り止めの役目を果たし、持った時の感触が良いことから多くの文人を惹きつけてきた。本筆には、「華王」とされる牡丹が彫刻され、堆朱ならではの重層的な美しさがよく現れている。