足形付土製品
あしがたつきどせいひん
概要
縄文時代の親子の愛を示すのが、この足形付土製品です。足形付土製品は、手形付土製品とともに縄文時代早期から晩期の北海道から東北地方にかけて出土しています。これらは、粘土を薄く板状にしたものに、赤ちゃんや小さな子どもの手のひらや足の裏を押し当てて、その姿を写しとったものです。こちらの作品には、2歳から3歳くらいの子どもの右足のあとが残っています。小さな指が並んでいるのが見えるでしょうか。板の裏側には、編み物を押し当てたような跡が残っています。この作品とは別の作品ですが、裏側に大人の手指の跡がついているものもあります。母親がわが子を抱いてその手や足の姿を写しとろうとする姿が浮かんでくるようです。縄文時代は、衛生状態や食糧事情が今ほどよくなく、子どもの死亡率が高かったと考えられます。こうした土製品は、子どもが無事に育つことを祈って作られたのでしょう。
しかし、これらはしばしば成人用のお墓の副葬品として出土します。死んだ子どもの形見として、あるいは親が先立った時にその子どもの思い出の品として入られたのかもしれません。縄文時代も今も変わらない親子の愛と、縄文人の姿を直接的に伝えてくれる作品です。