型吹き焼付け紅梅に文鳥文ガラスコップ
かたふきやきつけこうばいにぶんちょうもんがらすこっぷ
概要
型吹き焼付け紅梅に文鳥文ガラスコップ
かたふきやきつけこうばいにぶんちょうもんがらすこっぷ
明治時代後期/1896年~1912年
ソーダ石灰ガラス
高8.7 口径6.2 底径5.1 比重2.52
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びいどろ史料庫コレクション
来歴:2002びいどろ史料庫→2011神戸市立博物館
参考文献:
・佐々木源蔵『随筆がらすむかし語』[佐々木硝子株式会社、1955)
・神戸市立博物館『びいどろ・ぎやまん・ガラス 江戸時代~明治、大正へ』(2000)
・町田市立博物館『和ガラスのうつわ―近代日本のかわいいデザイン』(2015)
東京神田錦町にてガラスに絵付を焼き着ける工房を構えた、松浦玉圃(天保10~大正11年[1839~1922])による作品。正面に配された梅樹の枝に留まる文鳥は、前のめりになり、鮮やかな梅の花を眺めているようです。文鳥の羽毛は、一本一本細緻に表わされ、梅花は満開のものと蕾とに描き分けられ、対象を正確に捉えようとする玉圃の姿勢がうかがえます。
反対面の「分銅秤に榮林」のマークは、醤油製造に携わっていた東京・林與三郎のお店の屋印です(天明4年[1784]創業、明治33年[1900]商標登録)。玉圃の「玉」「圃」の款記から、明治29年に意匠化した「玉」の字を商標登録する以前の作例と考えられます。
明治30年頃から、販売促進のためにお店のマークを入れたガラスコップを製作する業者が現れたと記録が残っており、本作もそのような作例の一つと考えられます(佐々木源蔵『随筆がらすむかし語』[佐々木硝子株式会社、1955])。
【びいどろ・ぎやまん・ガラス】