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吉祥天立像

きちじょうてんりゅうぞう

概要

吉祥天立像

きちじょうてんりゅうぞう

彫刻 / 平安

平安時代・10世紀

木造

1軀

 仏教では、さまざまな名前、姿や形、役割をもった仏たちが登場します。仏たちは、如来・菩薩・明王・天という4つのグループに大別されますが、吉祥天は、そのうち守護神的な働きをする「天」のグループに属します。また吉祥とは、めでたいという意味です。吉祥天は、インドの古代神話に登場するラクシュミーという女神が仏教に取り入れられたものです。その名前が示すように、幸福や豊穣をもたらす仏として、日本では奈良時代8世紀以降さかんに信仰され、現代に続いています。その姿は、髪を結い装束を身に着けた、気高く美しい女性としてあらわされました。仰向けにした手のひらには、願いをかなえ幸福をもたらす宝珠を載せています。
 この吉祥天像は、かつて京都・亀岡市の大宮神社(おおみやじんじゃ)に伝来していた像です。主要な部分を一本の木材から彫り出した「一木造」(いちぼくづくり)の像にふさわしく、どっしりとした重量感があり、また実際にもかなりの重量があります。両肩はがっちりと張り、胸板は厚く、頭や顔は丸々としています。着衣の袖の線に注目してください。鑿(のみ)が荒々しい線を刻み出しています。重量感と力強さに満ちた技法や表現に、10世紀の木彫の特色がよく表れているといえるでしょう。
 現存する吉祥天の木像としては、比較的初期に属する古い作品であり、彫刻の技法や表現も優れています。

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キーワード

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