菩薩半跏像
ぼさつはんかぞう
概要
丸椅子のようなかたちの台座の上に坐り、踏み下げた左足の太ももの上に折り曲げた右足をのせ、右手でほおづえをつく姿の仏像です。このように足を組み考える姿勢をしている像を、半跏思惟像(はんかしいぞう)といいます。半跏思惟像の源流は、現在のアフガニスタン、パキスタンの位置にあり、1世紀から5世紀に栄えたガンダーラという地域に求めることができます。そこでは、この姿勢の像が、樹の下で考える出家前の釈迦としてあらわされていることが確認できます。またインドでは、この姿は慈悲(じひ)の菩薩である観音菩薩と結びついて発展しました。中国では、ガンダーラのように出家前の釈迦とすることが多かったようです。さらに朝鮮半島では、釈迦が亡くなってから56億7千万年後に弥勒菩薩がこの世に現れるという信仰の流行とのかかわりがみられます。その信仰が大きく広がり、その影響がおよんだ日本でも半跏思惟像がつくられるようになりました。それらの代表的な像は、東京国立博物館の法隆寺宝物館でも見ることが出来ます。
この像の表情は穏やかで、気品が感じられます。また全体的にプロポーションはほっそりとしていますが、やや角ばった体つきをしています。これらの点は、朝鮮の7世紀、高句麗(こうくり)、新羅(しらぎ)、百済(くだら)の三つの国があった時代、いわゆる三国時代につくられた仏像にみられる特徴です。
山の形をした冠や両方の肩に垂れる髪の毛の束、下半身に着けた衣の襞(ひだ)など、立体感に富む細かい部分も見どころです。