銀鍍金狩猟文脚付杯
ギントキンシュリョウモンアシツキハイ
概要
馬上杯と呼ばれる脚台付の銀製杯。その形状は唐代の青銅器や銀器に多く見られるもの。特徴は杯部側面から底面、さらに脚部の外面に細かく刻まれた多様な文様や絵画である。魚子が施された地の部分は銀のままであり、文様部分は丁寧に鍍金が施されている。主文様帯の杯側面には四人の騎馬人物像がほぼ等間隔に配置され、それぞれ弓を射る前後の動作状態を表している。馬はいずれも左向きに進み、人物は騎馬人物像の間や画面の上下に草花樹木文様と鳥獣図が刻まれる。動物には兎・猪・狐・牛・鹿などがある。また飛ぶ鳥の画像もある。画面も小さいが刻まれた図像も極めて小さい。さらに図像の間は細かな円文が打ち込まれた「魚子」で満たされている。口縁部下には唐草文帯がある。杯部の下面や底面・脚部外面にも均整のとれた植物様の文様が丁寧に刻まれており、地には魚子が満たされている。杯内面や脚部内面には文様はなく、銀~灰銀色を呈している。文様に破綻は見られず、ほぼ完全にバランスがとれている。口縁部や脚部は正円ではなく微妙に不整形であることはこの脚付杯が手工芸品であることを示す。魚子は長1㎝あたり20~21個という細密さである。文様が類似する作品としては西安何家村出土の銀杯を挙げることができる。