豊干寒山拾得図
ホウカンカンザンジュットクズ
概要
因陀羅は元時代、汴梁(開封)の大光教禅寺に住し、また杭州の天竺寺周辺で活躍したとされる禅僧で、禿筆をふるった簡略な筆致の画を残している。国宝の「禅機図断簡」(東京国立博物館ほか所蔵)をはじめとして、日本には因陀羅の手になるとされる作例が比較的多く伝わっており、枯淡とした趣をもち、禅味豊かであると評価されて長らく愛されてきた。 本作は唐時代に天台山の国清寺に住み、奇異な言動や行動をして周囲を驚かせたという豊干禅師と寒山拾得を画く。猛獣の虎を手懐け発話する様子の豊干、胸前に手をおき相対する拾得、巻子を披きながめる寒山の姿である。画中に捺される「沙門楚因」(白文方印)、「人言洞裏桃華煙未必人間有此枝」(朱文方印)、「(釈氏陀羅)酔余玄墨」(白文方印)の三顆はいずれも因陀羅の用印と考えられている。川崎家旧蔵。