千鳥蒔絵文台
ちどりまきえぶんだい
概要
文台は、書物や硯箱(すずりばこ)、短冊(たんざく)などを載せる小振りの机です。本品は、天板の両端に筆返しが付き、上面に州浜(すはま)に松、飛び交う千鳥などを金蒔絵(まきえ)で表しています。この種の図様(ずよう)は室町時代の作品に類例があり、甲斐(かい)国(現在の山梨県)の歌枕(うたまくら)「塩山」(しおのやま)を表したと考えられます。蒔絵は、蒔絵粉の上に漆を塗った後、表面を炭で研(と)いで文様(もんよう)を現す研出(とぎだし)蒔絵を主体に、州浜や貝は蒔絵粉をまばらに蒔く絵梨子地(えなしじ)としており、技法にもこの時代の特色が現れています。足利義政(あしかがよしまさ)(1436~90)奉納と伝えられます。