文字絵刺繍「壽」
もじえししゅう「じゅ」
概要
朱地に牡丹文や鶴で「壽」の文字を施した刺繍。右上には「先翁 總辨大人六旬四榮慶」、左下には「愚晩/葉仰髙 韓治 詹文藻 李榕 趙鳴琴/鞠躬故祝」の文字を刺繍であらわす。この銘から、總辨大人の還暦と昇進を祝い、葉仰髙をはじめとする5名が文字絵刺繍を制作して贈ったことが判明する。文字を絵であらわす文字絵は、長寿などの祈願をこめて贈るもので、中国の明清時代に本格的に流行し、やがて朝鮮王朝などでも受容され、民画として大衆にも広まった。本作は20世紀の作であるが、現代中国の社会や儀礼の様子を伝える貴重な作例である。