合子
ごうす
概要
合子
ごうす
制作地:ベトナム・フエ
ベトナム・阮時代 19世紀
真鍮 轆轤挽き 彫金
径9.0 高8.4
1合
真鍮鋳造、彫金。東南アジア各地では檳榔と呼ばれるヤシ科の常緑樹の果実を薄切りにしたものに石灰を塗り、蒟醤の葉で包んで噛む習慣がある。ベトナムでもこの習慣は極めて古くから行われており、現在ではやや廃れつつあるものの、喫茶習慣が中国系移民によってもたらされるまで檳榔噛みはベトナム社会に欠かすことのできないものであった。本品は、檳榔の果実と蒟醤の葉を入れるための専用容器である。檳榔噛みは、ベトナム最後の王朝である阮朝では極めてひろく流行し、本品のような比較的安価な金属で製作されたものから特注の王族用金製合子まで存在する。被せ蓋に懸子1枚という構造は素材の如何を問わず通有のものであり、表面を吉祥文で埋め尽くす点も共通する。