夕霧図屏風
ゆうぎりずびょうぶ
概要
山里の秋の風景を表わす金地著色の屏風。本図は、『源氏物語』第39帖「夕霧」、光源氏の子息・夕霧が小野の山荘に落葉宮を訪ねる場面で、「源氏物語扇面貼交屏風」(広島・浄土寺蔵)をはじめ同場面を絵画化した類例は多い。なかでも本図は人物を省略した「留守模様」の手法をとる点で特徴的である。画風は、室町時代を最盛期として江戸時代初期頃まで制作されたやまと絵屏風の様式に近似する。遣明船などで国外へ輸出された中世やまと絵屏風を類推するための資料として、高い価値を持つ。